中学生時代に、いわゆる5球スーパーなる大きなラジオで短波放送をよく聞いていました。中学生にとって、外国語は何やら怪しげであり、また未知の世界のようで、心ときめくものがありました。
それが高じて結局物理の世界へ進むことになるのですが、中学3年ぐらいから、いわゆるラジオの製作というものに興味を持ち、かなりの数のラジオを製作しました。
当然半田ゴテの技術はすぐに習得しましたが、回路図の見方や、回路図が意味しているものを理解できなかったため、結構誤配線をしました。そのチェックのため、テスター等の使い方を覚えましたが、その間100ボルトにはずいぶん感電した経験があります。
100ボルトの感電は、手首から先がブルブルっと震える感じですね。あまり痛みは感じません。
だからといって、自分からやりたいとはもちろん思いません。人によっては30ボルト程度でも電流によっては心臓発作を起こすそうです。
しかもこのブルブルッと言う感覚は、通常の震えとはまったく異質なものであり、あまり体験したくないな、と思わせるものです。
しかしながらラジオの製作を未熟な技術で行っていれば、この体験はする機会は少なからず生じます。
しかも当時のラジオは真空管式であり、これを働かせるためには100ボルトを電源トランスで200〜300ボルトに昇圧する必要があります。このため、幸か不幸かこれが原因で、数100ボルトという電圧にも何回か感電した経験があります。
このときの感覚は、バシッまたはビシッという感じで上腕から先がしびれる感触です。震えというより痛みの感覚が強いように思います。
そして感電の話しのフィナーレは、千数百ボルトの感電です。これは大学時代の実験で体験しました。
当時放射線の測定をしていたのですが、機械の調子がいまいち思わしくなく、装置の背面にあるコネクターの接続が怪しいと睨んだ私は、さしたる疑念も挟まず、背面をあまり確認せず右手を装置の裏側に持っていった。
当然スイッチは切れていると思っていたのですが、どうゆうわけか電源はオンになっており、しかも高電圧を発生する接続ケーブルのプラグがむき出しになっていました。
背面をまさぐる私の手のひらが、たまたまそこのむき出しの端子に触れました。触れた瞬間の感触は、錐か千枚通しで手のひらを突き刺されたような感じです。
「痛い」、と感じた瞬間、手のひらがはじき飛ばされると共に、私の体自体も後ろへよろめくように感じました。
瞬間何が起きたのかわかりませんでした。心臓は激しく高鳴り、右の肩から指にかけて完璧に痺れた状態になりました。しばらく棒立ちだったと思います。
我に返って、何が起きたのか見極めようと、測定器に近づいて初めて電源スイッチがオンになっていることを確認。測定器の説明書を開いてみると、背面の端子には約1500ボルトの電圧がかかっていることが書かれていました。
たぶんそれほどの大事に至らなかったのは、電流が少なかったせいだと思っています。。しかしこれまた意識的に体験できるものではありません。今は貴重な体験だったと思っています。