話すきっかけ
1912年から1929年頃の出来事なので、かなりあいまいな部分があります。場所はインド北東部、ゴダムリという村。
この話をするきっかけは、生徒が欲する授業を以下に行うか、という悩みに陥っていたとき読んだ本。
ある高名な先生が、この話をすることによってどんなに荒れていて、授業に集中しない生徒でも引きつけることができる、と書いてあったからです。そして実際その本には、つっぱり生徒が授業に集中している写真が添えられていました。
本屋に行って捜しました。本の厚さは1(cm)ぐらい。すぐに読めました。しかし第一印象はそれほどでもなかったです。
なぜこれが生徒の関心を引くのかわからないと感じました。話術のせいだろうか、とも疑ってみたこともあります。しかしある時意を決して、本の内容を少し生徒に話してみたところ、まったく意外なことに、ものすごい集中力を感じました。
さて以上がきっかけですが、その後残念ながらこの話しは作られたものだ、というご指摘を受けました。
その御指摘が正しいのか、出版された本の内容が正しいのか、私には判断基準がないので、必ずしも信憑性のある話しではない、と言うことも念頭に入れて、以下を読んでいただければと思います。
実際には、最近はあまりこの話しをする機会もあまりありません。ほんの5分ぐらいで概略を話すこともあります。その際はどこまでが本当か疑われる部分もあるという注釈をつけて話すようにしています。
当時のインドの風習
当時のインドの生活実体は、はっきり言ってほとんどわかりません。しかしどうやら人口の急増に悩んでいたようです。
今の日本の核家族社会からは想像もできませんが、当時は5人から10人ぐらいの子供を育てる(産む)のはあたりまえのことだったと思われます。
その結果当然食糧事情が悪くなるわけですが、耕作量や収穫量はそう簡単に増やせるものではありません。そして行われたのがいわゆる間引き。畑の苗を、強いものを残し、弱いものを間引くのと同じです。そしてこの場合弱い者は、赤ん坊となります。
間引かれた赤ん坊はすぐに殺されるか、森に捨てられるかしたのだと思います。この子供達の話はそこから始まります。
新生児と狼との出会い
森の中に捨てられた新生児を狼が発見します。普通ならその場でかみ殺されて食料になるところですが、どういうわけか、この狼が新生児を巣に連れ帰り育て始めます。
巣は巨大な蟻塚の中にありました。当然の事ながら、この狼は子供達を狼の子供として育て始めます。
もちろん子供達は、自分が人間社会から隔絶されたところで育てられているという意識はありません。すなわち狼の習慣や行動を素直に受け入れることになります。
この記述が正しければ、人間の適応力についてもいろいろと考えることが出来そうです。