午後の動き

放課後

 授業はだいたい15時から15時30分に終わります。ただし学校5日制の関係で7時間授業を行うようになった本校では、火曜と金曜の授業の終わりは16時になります。授業終了と同時に担任は教室に駆け込みSHRを行います。もっとも教員が6時間目の授業を行っていたり、生徒の授業が体育であったり選択科目で移動教室の場合は、この時間はかなり不確定で、後ろにずれ込みます。

 生徒が集まると帰りの打ち合わせ、すなわちSHRを行い、朝忘れた連絡や新たな連絡を行います。活発な学校では生徒側からも連絡が行われます。連絡が終わると掃除です。学校にもよりますが、教室以外に数箇所分担します。担任は当然ながら教室を担当します。

 最近の生徒は自分の机から自分の持ち物が落下してもあまり気にしないようです。物が豊富になったせいかもしれません。その反面他人の物を黙って借用する(ある意味では窃盗だ)ことにもあまり抵抗を感じないようです。借用された方も、紛失したのか盗られたのかあまり問題にしません。物質に関する所有欲もないし、物を大切にする感覚も欠如しているように感じます。

掃除

 掃除監督もなかなか大変です。掃除嫌いの生徒が多いと、サボりが出ないように見張らなければなりません。学校によってはSHR直後に自分が掃除当番と分かっていながらさっさと帰ってしまう生徒がいるので、これを廊下や下足置き場まで追いかけ説得したりおどしたりなだめたりしながら当番の仕事をきちんとやらせなければなりません。

 さらにメンバーが無事に集まっても、最近の生徒は箒の使い方やはき方がほとんど身についていないので、ゴミを集めているというよりは、掃き散らしている状態のことも多く、一からやり方を教えなくてはなりません。教室の窓も開けずにやたら箒を振り回すので、埃が教室中に舞い上がったりします。

 さぼる生徒が多くなると、掃除の目的は教室をきれいにすることではなく、いわゆる係り分担という社会常識を身に付けさせることに移り、掃除のできばえは二の次になります。つまり自分の掃除分担の時に、さぼらずに、きちんと道具を持って、掃除という行動に参加させる、という事が第一目的になるわけです。

 そのために教員は学校中サボりぎみの生徒を追い掛け回して駆け回らなくてはならないこともあり、自ら箒やちりとりを持って掃除のやり方を教えたり、掃除をしながらさぼる生徒がいないかどうかをさりげなくチェックしたり、大変忙しい思いをします。

 こんな事を毎日繰り返していると、教員なりたての頃は、俺は一体何のために教員になったんだ。教育という仕事の中に、どうしてこんな仕事が紛れ込んでいるんだ、と疑問に思うこともしばしばありました。

 あれやこれやで授業が終わって掃除が終了するのは約30分後。どんなに早くても4時です。

クラブ部活動

 掃除が終わると次は部活です。部活は全員加入が義務付けられている学校とそうでない学校があります。本校は全員加入である。ただし活動日は部活によって異なります。ほとんど毎日という部から、1週間に1回活動しているのかどうか疑わしい部まであります。運動部の場合は一般的に活動日が多く、文化部の場合は、吹奏楽部や音楽部、書道部といった、全国的な大会が存在する部以外はだいたい週1回から3回程度です。

 最近中学校では生徒数が減少し、いわゆる大勢で行う団体競技のクラブが減ったと聞いています。つまり学校全体の生徒数が減ってしまったので、サッカーや野球といった団体で行う部活が消滅し、運動部ならテニスや卓球、陸上といったクラブが増えているようです。

 またいわゆる授業中の体育の時数そのものも、度重なる教育課程の改良?により減り続けているようです。その結果高校入学直後の生徒の対体力はかなり落ちています。年取った教員と競争をして教員が勝ってしまうという情けない現象も観察できます。

 部活動には顧問の立会いが一般的に必要です。顧問のいないときになんらかの事故が起きるといろいろ問題が生じるからです。もっとも立会いという言葉の解釈は難しいというのが実感です。

 最初から最後まで生徒の一挙手一投足を見ていなくてはならないのか、ちょっと準備室に寄ったり、他の仕事をしながら、時間の空いたときに顔を出す程度でよいのか判断が難しいと思います。もちろん理想的にはその場にいることが望ましいのでしょうが、放課後の教員の仕事は部活だけではありません。

 部活の指導を行っていると、自分の時間はほとんどとれません。自分の時間をとってコーヒーでも飲もう、なんて思っているわけではありません。教材研究をします。教育の原点は研修と教材研究にあると思うのですが、現在の学校の忙しさでは、ゆっくり教材を調べている暇がありません。ましてや生徒の興味関心を惹きつける授業の工夫なんか出来るわけがないというのが実感です。

会議その他

 放課後に職員会議が週1回設定されていますが、その他に授業時間帯に入りきらなかった教科会議や委員会の会議を行ったりします。また正式な委員会ではなくても、例えば修学旅行を企画する先生方だけが集まったり、ちょっとした打ち合わせのために数人の先生が集まる必要が生じる場合もあります。

 この他にも突然保護者が来校したり、卒業生が質問に来たり、部活動中に生徒が怪我をしたり、下校中の生徒に生徒指導上の問題が発生したりと常に臨時の仕事が待ち構えています。

帰宅

 部活の指導をしたり、放課後の様々な雑用を済ますとようやく帰宅となります。正規の勤務終了時間は5時15分(最近5時に変更されました)ですが、それを意識している教員はあまり多くいません。本校ではこの時点で帰宅する教員は1割を切ると思います。

 6時まで残っている教員はさすがに少なくなってきます。しかしまだ半数程度は残っています。7時になるとさすがにぐっと減ります。残っているのは部活か、やけに忙しい特定の教員か、たまたま仕事があって残った教員ぐらいです。

 ちなみに管理職(校長、教頭、事務長)は、この時間にはほとんどいません。だいたい5時半前後には帰宅しているようですが、よくわかりません。

 私は5時半から6時前後に学校を出ます。家までは車で30分ですから、通勤としては非常に恵まれています。家に仕事を持ち帰ることはあまりしません。家に着いたら仕事のことは忘れたい、というのが本音です。


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