さて車の中で最初に考えるのは、その日の仕事の段取り。その日に行われる会議や数日中に行われる会議の内容を考えます。その次が授業。今日の授業の時間割を思い浮かべ、続いてどのクラスがどこから始まるか授業の概略を思い出し、実験を行う場合は準備の段取りや時間について予想して起きます。 授業内容を思い出したら、次は今日の授業内容の要点と教え方の反芻。ここではこんな練習問題、ここではこんな話題、なんてことを考えられる日は調子の良い日。気力が充実しています。そんなときは教え子の反応まで想像できます。 次に考えるのが当日の行事関係。1学期は授業中に各種の健康診断が行われます。疲れているときにこのようなめぐり合わせに遭遇すると、学生時代の休講に遭遇したかのような感動を覚えます。しかし健康診断には保健室への引率があり、なおかつ診断がスムースに進むように気を配らなくてはいけない。 その他ここでは詳述しませんが、学校には授業以外に本当にいろいろな行事?がある。とりあえず授業以外の様々な要素を勘案し、授業への影響を考えつつ学校に向かいます。クラス内に手のかかる生徒が存在する場合はさらに面倒です。今日はどのような対応をするか、相手はどう出てくるか、そのときの対応は、なんてことを考えると、実際には前日の夜の睡眠時間まで奪われます。こちらの価値観がほとんど通用しない生徒が出てくると、困惑は極限に達します。 最も出勤途上、ずーっとこんなことばかり考えていたら登校拒否に陥ります。適度に切り上げるべきで、切り上げられないほど悩みが深くなると重症です。そんなとき真面目に勤務を続けるといずれ精神が破綻します。良い意味でも悪い意味でも多少なりともずるがしこくないと(ある程度いい加減でないと)勤まらない部分があります。 やがて学校の正門が見えてきます。今日もがんばるか、と自分に言い聞かせます。 教師に成り立ての頃はこれらの後ろ盾を感じることもないし、利用することも思いつかないので生徒との戦いは苦戦します。しかし若さには、それ特有の武器があります。年代の近さ、教育への情熱、新鮮な驚きと豊かな感性ですね。教育実習生にはそのような実習をしてもらいたいと思っていますが、現実はなかなか厳しいようです。 |
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