ボルタの電池とその応用

対象等

中学校、高校

目的

・ ボルタの電池とはどのようなものかを確認する。

・ 金属の組み合わせの違いによる電圧の違いを調べる

準備

@ 銅板、亜鉛板、鉛板、マグネシウムリボン、鉄板、300(ml)ビーカー 1個、ソーラーモーター

A 希硫酸

実験場所

化学実験室、教室

方法

実験1 ボルタの電池

@ 亜鉛板を単独で希硫酸に入れ泡が出ることを確認します。

A 銅板を単独で希硫酸に入れ、変化が起きないことを確認します。

B 亜鉛板、銅板に銅線を接続し、さらにソーラーモーターに接続します。

C 金属板を希硫酸中に浸しソーラーモーターが回転することを確認します。

D 亜鉛板を鉄板や鉛板に変更し回転数が落ちること、または回転しないことを示します。

E 亜鉛板の変わりにマグネシウムリボンを使い、モーターが激しく回転する事を示します。

実験2 ボルタではありませんが、電解質が硫酸でない場合電池は出来るのかという実験を行いました

@ 電解質の代わりに塩化ナトリウム水溶液を使いました。

A テスターで電位差(起電力を測ると0.8Vぐらいありましたが、ソーラーモーターのプロペラは回りませんでした。

B ソーラーモーターの代わりに電子オルゴールを接続すると、わずかに音が聞こえます。

C 亜鉛板の代わりにマグネシウムを使うと、さらに音が大きくなりました。

D これによって希硫酸の水素イオンが亜鉛板を溶かすことによって電池が出来たのではなく、亜鉛と銅板のイオン化傾向の差によって電池が出来ることが分かりました。

E さらにマグネシウムと比較することによって、その結果が明瞭になります。

実験場の注意点

・ この実験は反応している最中に硫酸の霧が発生するようで、長時間やたくさんの班で同時に実験を行うと咳き込む生徒が出ます。

・ 教科書等では銅板上で水素が発生しと書かれていたりしますが、実際には亜鉛板上で水素が激しく発生します

・ ボルタの電池は豆電球で説明することも多いのですが、豆電球の定格は1.1V程度なのに対して、ボルタの電池は0.6V程度なので、一瞬しか点灯しません

結果

・ マグネシウムリボンはかなり激しく反応しますし、モーターもかなり激しく回転します。鉛ではほとんど動きませんでした

考察、応用

・ あらためてイオン化傾向の表を示し、どのような組み合わせが効率的か説明しています。当然リチウムやカリウム等のアルカリ金属が激しく反応するはずであることを伝えた後、それゆえ水と反応してしまうというアルカリ金属の特性についても触れています

・ 最近はボルタの電池よりダニエル電池の実験を行う学校が増えているようです

生徒さんへ

・ 金属による反応の違いをよく観察してください

・ 激しく反応が起きている時は、硫酸溶液の近辺での呼吸を避けてください



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